焔Maison Homura
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三 · 10点

木の棚

木は、手のしたことを覚えている。刃を入れ損なえば、貼り直しはきかない。だから彫り手は、最初の一刀の前に木目を読みます。木目が決めることは、思うよりずっと多い。

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一

開かない箱

東京の西、箱根の秘密箱には、見える蓋がありません。板を数ミリずつ決まった順に滑らせて、はじめて引き出しが抜ける。四回で開くものもあれば、何十回もかかるものもあります。

表を覆うのは寄木。色の違う木の棒を貼り合わせて塊にし、その端から紙のように薄く削り出したもので、絵の具は使いません。色は、木そのものの色です。

二

冬の手仕事

一九二二年、北海道の八雲で農場を営んでいた徳川義親は、スイスのベルンで、農家が冬に彫って売る熊を見ました。いくつか持ち帰り、農場の人々に彫ってみるよう勧めた。最初の熊が並んだのは一九二四年のことです。

鮭をくわえた熊は、やがて誰もが知る姿になりました。毛並みはひと彫りずつ鑿で刻む。畑に出られない月々の仕事でした。

三

湯の町で挽かれた人形

こけしは、東北の温泉町から生まれました。宿の椀や盆を挽いていた木地師が、子どもや湯治客のために素朴な人形を挽くようになったのが始まりです。

町ごとに形と顔が受け継がれ、見慣れた人なら部屋の向こうからでも産地が分かる。鳴子のこけしは首がきつく差し込まれていて、回すとキュッと鳴ります。

こけし、木彫り熊、寄木細工、祭りの面。一木、継ぎなし。
03三

木

一木、継ぎなし。木目を読みちがえれば、その日は終わり。

なまはげ面
なまはげ面なまはげ面秋田・男鹿
天狗面
天狗面天狗面京都・鞍馬山/東京・高尾山
獅子頭
獅子頭獅子頭富山県南砺市井波
木彫り熊
木彫り熊木彫り熊北海道・八雲
加賀人形
加賀人形加賀人形石川県金沢市
こけし
こけしこけし宮城・鳴子
奈良一刀彫
一刀彫奈良一刀彫奈良
根付
根付根付京・大坂・江戸
欄間
欄間欄間富山県南砺市井波
寄木細工
寄木細工寄木細工神奈川県箱根・畑宿
この家の本業

探しものを承ります

お探しのものをお聞かせください。現物がある国に住んでいますので、こちらから見に行きます。

  1. ご希望を伺う何をお探しか、おおよその予算、期日があればその日。曖昧で構いません。「娘が生まれた年の干支の土鈴」——それだけで始められます。
  2. 探しに行く朝市、付き合いのある業者、市、そして家を片づけている家。その週に出てくることもあれば、何か月もかかることもあり、とうとう出てこないこともあります。
  3. ご判断いただく昼の光で撮った写真、寸法、欠けも含めて正直に書いた状態、そしてお手元に届くまでの総額。違うと思われたらそう仰ってください。それで終わりです。
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いま棚にある品:なまはげ面 · 2天狗面 · 1

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金

一六一一年から金属を注ぎつづける町がある。その銅の色は、塗ったものではない。そして鉄瓶の内側は、決して洗ってはいけない。

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秋田・男鹿
なまはげ面

なまはげ面

秋田・男鹿 · 文化八年の記録から

鬼ではありません。年に一度、山から降りてきて家をあらためる神です。

大晦日の夜、秋田の男鹿半島では、若い衆がこの面をかぶり、藁のケデをまとって雪のなかを家々へまわります。足を踏み鳴らし、「泣ぐ子はいねがー」「怠け者はいねがー」と叫ぶので、家の子どもは本当に泣きます。

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京都・鞍馬山/東京・高尾山
天狗面

天狗面

京都・鞍馬山/東京・高尾山 · 日本書紀に名が見える

日本では、長い鼻は嘘つきのしるしではありません。うぬぼれのしるしです。

天狗は山の霊です。赤い顔、翼、そしてのびていく鼻。いまも人に使われる言葉で、慢心がすぎると「天狗になる」と言います。

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富山県南砺市井波
獅子頭

獅子頭

富山県南砺市井波 · 獅子舞は七世紀の記録から

人の頭を噛みます。噛まれるほうが、良いのです。

正月に、祭に、獅子が二人を中に入れて通りを下ってきます。頭を持つ者と、幌の下で腰を折る者。そして人の前で止まり、頭を噛む。泣き叫ぶ子どもを、笑っている親が前へ押し出す。噛まれることが御利益です。獅子は厄を食べてくれる。頭が良くなるとも、頭痛が治るとも言われ、どちらも真顔で言われます。

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北海道・八雲
木彫り熊

木彫り熊

北海道・八雲 · 大正十三年から

北海道でいちばん知られた木彫は、スイスの土産物の写しから始まりました。

大正十三年、徳川義親がヨーロッパから木彫の熊を持ち帰りました。ベルンで買い求めたものです。八雲の農民たちにそれを見せ、冬の畑仕事のない長い季節に彫ってはどうかと勧めました。

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石川県金沢市
加賀人形

加賀人形

石川県金沢市 · 江戸期から

あの白は絵具ではない。貝を挽いて、十度も重ねた粉である。

金沢は前田家の城下町である。徳川に次ぐ大身であり、加賀百万石という言葉がいまも残る。それだけの米を背にした家は、職人に急ぐことを求めなかった。金箔、九谷、加賀友禅、そしてこの人形。

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宮城・鳴子
こけし

こけし

宮城・鳴子 · 江戸後期から

首を回すと鳴きます。その鳴き声で、どこの系統かがわかる。

こけしは、椀や盆を挽いていた木地師が轆轤で挽きます。東北の湯治場に来た人へ売りはじめ、やがて湯の町の土産になりました。

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奈良
一刀彫

奈良一刀彫

奈良 · 中世の祭礼人形から

鑿のあとは削り落としません。あれが仕上げです。

一刀彫とは、一本の刃で彫るということです。大胆な平面で削ぎ落とし、刃の残した面をそのまま残す。丸めず、磨かず、つくった痕跡を隠そうとしません。

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京・大坂・江戸
根付

根付

京・大坂・江戸 · 江戸期——十七〜十九世紀

着物には、ポケットがありません。この道具がある理由は、それだけです。

着物にはポケットがありません。煙草入れ、巾着、薬を納めた印籠——持ち歩くものはみな紐を帯の内側から上へ通し、帯の上に留めて抜け落ちを止めるのが根付です。提げるものではなく、留めるもの。彫りは帯の上、人の目の高さに座り、提物はその下に下がります。

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富山県南砺市井波
欄間

欄間

富山県南砺市井波 · 井波の彫刻——明和年間から

二つの部屋が分け合うものだから、両側から彫ります。

欄間は、襖の上、鴨居と天井のあいだに入る透かしの板です。閉てきってしまえば行き来のなくなる二つの部屋のあいだに、光と風だけを通すために、そこにあります。

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神奈川県箱根・畑宿
寄木細工

寄木細工

神奈川県箱根・畑宿 · 天保年間から

色を染めたところは一つもありません。色の数だけ、木の種類があります。

この部屋で唯一、彫らないものです。組む。木を細く挽き、四角に削り、木口を合わせて貼り重ね、文様が板の表面ではなく 素地そのものに、端から端まで通るまで積み上げていく。

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