着物には、ポケットがありません。この道具がある理由は、それだけです。

着物にはポケットがありません。煙草入れ、巾着、薬を納めた印籠——持ち歩くものはみな紐を帯の内側から上へ通し、帯の上に留めて抜け落ちを止めるのが根付です。提げるものではなく、留めるもの。彫りは帯の上、人の目の高さに座り、提物はその下に下がります。
つまり実用の道具で、実用が三つの厳しい条件を決めます。掌のなかに握りこめる大きさであること。絹の糸一本も引っかけないよう、どこもかしこも滑らかであること。そして裏まで彫り上げてあること——持ち主がひとりのときにだけ見る面です。紐通しの穴は、正しい向きに下がるところへ空けなければなりません。


柘植の木取りをする。彫る前に木目を読む。
大まかに彫り出す。ここを誤れば、その日は終わりである。
一ミリの鑿で細部を彫る。
裏に紐通しの穴を二つ。帯の上でまっすぐ座り、傾かぬ位置に開ける。
磨いて油を入れる。あとの艶は、五十年持ち歩いた手がつくる。
その枠のなかでなら、彫師は何をしてもよく、実際に何でも彫りました。黄楊、象牙、鹿角。鶉。栗にとりついた鼠。返る波。鼻を脇腹にうずめて眠る仔犬。袋から這い出す布袋。丸ごと立体に彫るのが形彫、平たい饅頭形が饅頭根付、透かし彫りが柳左です。
最初の大きな流派は京にありました。いま根付といって思い浮かぶ姿は、たいてい友忠の牛です。大坂と江戸が続きます。腕のある彫師は、誰も見ない裏側に銘を切りました。
やがて日本は洋服を着るようになり、帯が消えます。明治に入ると根付は、必要とする人のためではなく、外国の蒐集家のために彫られるようになりました。大きくなり、賑やかになり、そして悪くなったのは、ちょうどその時期です。蒐集家はそれでも買いました。





土鈴は、たまたま音の鳴る飾りではありません。鈴です。釉をかけない土に玉を入れたまま焼き、足もとに小さな音穴を切ってある。音は乾いていて短く、金属とはまるで違います。
品は日本で一点ずつ探し、出品する前に撮ります。お探しのものをお書きください。それに応えるものが入りましたら、お知らせします。
お知らせすることがある時だけお送りします。月に二度のこともあれば、何もない月もあります。
承りました。入り次第ご連絡します。