焔Maison Homura
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三 · 木 — 京・大坂・江戸

根付

着物には、ポケットがありません。この道具がある理由は、それだけです。

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根付 — 京・大坂・江戸
京・大坂・江戸 · 江戸期——十七〜十九世紀

着物にはポケットがありません。煙草入れ、巾着、薬を納めた印籠——持ち歩くものはみな紐を帯の内側から上へ通し、帯の上に留めて抜け落ちを止めるのが根付です。提げるものではなく、留めるもの。彫りは帯の上、人の目の高さに座り、提物はその下に下がります。

つまり実用の道具で、実用が三つの厳しい条件を決めます。掌のなかに握りこめる大きさであること。絹の糸一本も引っかけないよう、どこもかしこも滑らかであること。そして裏まで彫り上げてあること——持ち主がひとりのときにだけ見る面です。紐通しの穴は、正しい向きに下がるところへ空けなければなりません。

映像 · 0:59 · 英語ナレーション女中は根付264個を布団に隠した
ナレーションを読む(英語)

A maid hid two hundred and sixty-four of these in her mattress. They're netsuke. A kimono has no pockets, so a man hung his tobacco and his seal from his sash, and a tiny carving like this held them in place. In 1899 a rich family in Vienna, the Ephrussi, got the whole collection as a wedding present. Their children played with them on the dressing-room floor. But in 1938 the Nazis took Vienna. Officers listed everything in the palace, the paintings, the silver, the books, and boxed it up for Berlin. So the family's maid, Anna, did something small. The family story goes that every time she passed the cabinet, she slipped a few into her apron pocket. Then she hid them in her mattress, all through the war. In 1945 the eldest daughter came home to an empty house. Anna gave her back every single one. Small enough to hide. Good enough to hand down. If you'd like one of your own, Maison Homura will go and look for it. They were made for clothes with no pockets. They were saved by one.

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作りの順
  1. 木取りKidori

    柘植の木取りをする。彫る前に木目を読む。

  2. 荒彫りAra-bori

    大まかに彫り出す。ここを誤れば、その日は終わりである。

  3. 仕上げ彫りShiage-bori

    一ミリの鑿で細部を彫る。

  4. 紐通しHimotōshi

    裏に紐通しの穴を二つ。帯の上でまっすぐ座り、傾かぬ位置に開ける。

  5. 磨きMigaki

    磨いて油を入れる。あとの艶は、五十年持ち歩いた手がつくる。

その枠のなかでなら、彫師は何をしてもよく、実際に何でも彫りました。黄楊、象牙、鹿角。鶉。栗にとりついた鼠。返る波。鼻を脇腹にうずめて眠る仔犬。袋から這い出す布袋。丸ごと立体に彫るのが形彫、平たい饅頭形が饅頭根付、透かし彫りが柳左です。

最初の大きな流派は京にありました。いま根付といって思い浮かぶ姿は、たいてい友忠の牛です。大坂と江戸が続きます。腕のある彫師は、誰も見ない裏側に銘を切りました。

やがて日本は洋服を着るようになり、帯が消えます。明治に入ると根付は、必要とする人のためではなく、外国の蒐集家のために彫られるようになりました。大きくなり、賑やかになり、そして悪くなったのは、ちょうどその時期です。蒐集家はそれでも買いました。

根付 — 右
右から
ひと回りして見る
根付 — 正面根付 — 左根付 — 背面根付 — 右
覚え書き
何か
提げ紐の端で留める根付
大きさ
三〜五センチ——掌に握りこめること
材
黄楊、象牙、鹿角
掟
全面なめらか、裏まで彫り上げる
産地について

土鈴は、たまたま音の鳴る飾りではありません。鈴です。釉をかけない土に玉を入れたまま焼き、足もとに小さな音穴を切ってある。音は乾いていて短く、金属とはまるで違います。

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