あの白は絵具ではない。貝を挽いて、十度も重ねた粉である。

金沢は前田家の城下町である。徳川に次ぐ大身であり、加賀百万石という言葉がいまも残る。それだけの米を背にした家は、職人に急ぐことを求めなかった。金箔、九谷、加賀友禅、そしてこの人形。
胴は彫らない。桐を粉に挽き、糊で練って桐塑とし、型で抜く。細い稜がきれいに立ち、季節で割れることもない。彫った一木にはできないことである。


桐の粉を糊で練った桐塑を型で抜き、固く乾かす。
貝殻を挽いた胡粉を膠で溶き、薄く塗り重ねる。十度をこえる。
一層ごとに研いでから次を塗る。肌はここで生まれる。
最後に面相筆で顔を描く。毛数本の筆である。
そこへ白を置く。胡粉は貝殻の粉で、膠で溶いて薄く塗る。十度、あるいはそれ以上。一層ごとに研いでから次を塗る。だから顔に表面ではなく奥行きが生まれ、絵具ではなく肌のように光を返す。
主題はたいてい子どもである。遊んでいる最中、動きの途中で止まっている。この一体は加賀獅子の獅子頭を抱えている。金沢の獅子舞は行列ではない。棒振りが獅子に向かい、町なかで組み合う。
顔は最後に描く。毛数本の面相筆で。ここで、それまでのすべてが決まる。





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