負けねばならぬ獅子
富山の村では、秋祭りは喧嘩である。長い布の下に二人、両腕でなければ持てぬ重さの彫りの頭——獅子が村を練り、天狗の面をつけた少年が棒でかかっていく。舞は長く、そして獅子が負ける。負けねばならない。獅子はその年の病と厄であり、棒を持った子ども一人でそれを追い出せるということが、祭りの眼目だからである。
村の背後には、それ自体が神である山が二つ立つ。白山は年の大半を白く、社が置かれるはるか前から麓から拝まれてきた。立山は地獄と浄土の地形として描かれ、僧はその絵図を担いで諸国を回り、谷ごとにどの地獄かを説き、免れる代を集めた。
祭りと祭りのあいだ、獅子頭は家に掛かっている。飾りではない。一度打ち負かされ、来年また打ち負かさねばならないものの、顔である。












