焔Maison Homura
← すべての棚
二 · 9点

陶の棚

七つの窯と、ひとつの古い問い。器を仕上げるのは火か、手か。答えはいまも棚に並んでいて、使ううちに色の変わるものまであります。

横へ、棚の品へ →
一

火が決める窯

備前と信楽は、中世から続く六古窯のうちのふたつ。釉薬をかけず、薪の窯で十日あまり焚きしめます。炎と、降りかかる灰がつけたものが、そのまま残る。

備前の器に巻いた藁は燃えて赤い筋を残し、火襷と呼ばれます。肩に積もった灰は溶けて、胡麻のような粒になる。窯のどこに置くかは選べても、景色は選べません。窯から無事に出てこないものもあります。

二

五十年と、沈黙

九谷はその逆で、色はすべて描いて焼きつけます。緑、黄、紫、紺青、赤を白い磁器の上に。加賀の山あいの最初の窯は一六五五年ごろに火が入り、五十年ほどで途絶えました。なぜかは分かっていません。

一九七〇年代の発掘で窯跡と数多くの陶片が見つかり、同時にもっと難しい問いも出てきました。古九谷と呼ばれてきたものの多くは、日本の磁器が始まった遠い有田で焼かれたのではないか。議論はいまも続いています。九谷は一八〇〇年代のはじめに再び火が入り、今日まで途切れていません。

三

変わりつづける茶碗

萩の釉は柔らかく、細かな貫入が入ります。そこに茶がしみて、年を重ねるごとに器は色づいていく。萩の七化けといいますが、七つが何を指すのか、人によって答えが違います。

料理屋の店先に立つ狸は、信楽の生まれ。一九五一年、昭和天皇が訪れたとき、町は旗を持った狸を沿道に並べてお迎えしました。天皇はその光景を歌に詠み、それから誰もが狸を欲しがるようになりました。

茶碗、狸、招き猫、急須。意見の合わない七つの窯。
02二

陶

決めるのは火か、手か。意見の合わない七つの窯。

招き猫
招き猫招き猫愛知県常滑市
九谷焼
九谷焼九谷焼石川県加賀
信楽焼
信楽焼信楽焼滋賀県甲賀市
備前焼
備前焼備前焼岡山県備前市伊部
有田焼
有田焼有田焼佐賀県有田町
益子焼
益子焼益子焼栃木県益子町
常滑焼
常滑焼常滑焼愛知県常滑市
萩焼
萩焼萩焼山口県萩市
土鈴
土鈴土鈴京都の社寺
この家の本業

探しものを承ります

お探しのものをお聞かせください。現物がある国に住んでいますので、こちらから見に行きます。

  1. ご希望を伺う何をお探しか、おおよその予算、期日があればその日。曖昧で構いません。「娘が生まれた年の干支の土鈴」——それだけで始められます。
  2. 探しに行く朝市、付き合いのある業者、市、そして家を片づけている家。その週に出てくることもあれば、何か月もかかることもあり、とうとう出てこないこともあります。
  3. ご判断いただく昼の光で撮った写真、寸法、欠けも含めて正直に書いた状態、そしてお手元に届くまでの総額。違うと思われたらそう仰ってください。それで終わりです。
探しものを承ります →

いま棚にある品:九谷焼 · 16信楽焼 · 8有田焼 · 5常滑焼 · 2招き猫 · 13土鈴 · 1

次の棚

木

手順を知らなければ開かない箱。作り手は、その手順を教えてくれません。そして熊は、畑が雪に埋もれるあいだの農家の手仕事から始まりました。

棚を開ける →

← すべての棚

愛知県常滑市
招き猫

招き猫

愛知県常滑市 · 一八五二年の記録から

手を振っているのではありません。招いているのです。

この像は、手がすべてです。西洋の目には、猫が手を振っているように見える——やあ、と。日本で人を呼ぶときは、手を上げ、手のひらを下に向けて、指を前へ折り返します。招き猫は、どうぞ中へ、と言っているのです。

作り手の手もと
正面
左
背面
右
この品の全文を読む →
石川県加賀
九谷焼

九谷焼

石川県加賀 · 上絵付、五彩

偶然にゆだねたところは、ひとつもありません。髭の一本まで。

九谷は信楽と正反対の気質です。並べて置くのは、そのためです。

作り手の手もと
正面
左
背面
右
この品の全文を読む →
滋賀県甲賀市
信楽焼

信楽焼

滋賀県甲賀市 · 六古窯のひとつ

色を決めるのは陶工ではありません。火です。

土は、はるか昔に干上がった湖の底から掘り出されます。粗く、長石を多く含み、焼くと粒がぷつぷつと白く肌を破って出てきます。

作り手の手もと
正面
左
背面
右
この品の全文を読む →
岡山県備前市伊部
備前焼

備前焼

岡山県備前市伊部 · 六古窯のひとつ

釉薬は一滴も使いません。この色は、すべて火がつけたものです。

備前は、釉薬を使わない窯です。器は裸のまま火に入り、装われて出てきます。見えている色は、塗ったものでも掛けたものでもありません。焼きついたものです。

作り手の手もと
正面
左
背面
右
この品の全文を読む →
佐賀県有田町
有田焼

有田焼

佐賀県有田町 · 日本磁器のはじまり——元和年間

日本に磁器はありませんでした。ひとりの朝鮮の陶工が、白い山を見つけるまでは。

十七世紀の初めまで、この国がつくっていたのは陶器でした。磁器——白く、薄く、光を透し、叩けば澄んだ音のするもの——は中国と朝鮮から来る高価な品です。文禄・慶長の役ののち九州へ渡った陶工、日本で李参平と呼ばれる人が、有田のはずれ泉山で磁石場を見つけました。そこから、この国の磁器がはじまります。

作り手の手もと
正面
左
背面
右
この品の全文を読む →
栃木県益子町
益子焼

益子焼

栃木県益子町 · 嘉永六年から

江戸へ送る安物の台所道具でした。ひとりの陶工がコーンウォールから帰ってくるまでは。

益子は嘉永六年、誰にも褒められる予定のないものからはじまりました。水甕、すり鉢、土瓶。厚くて安く、川を下って江戸の台所に入る。七十年のあいだ、それだけの町でした。

作り手の手もと
正面
左
背面
右
この品の全文を読む →
愛知県常滑市
常滑焼

常滑焼

愛知県常滑市 · 六古窯のうち最も大きい窯

内側に釉がありません。手抜きではなく、それが要です。

常滑は愛知の知多半島にあり、その土は鉄分が多く、焼けば何をつくっても赤くなります。六古窯のなかで最も古く、そして群を抜いて大きい。平安末期にはこの丘に三千基ともいわれる窯が散らばり、大甕を焼いては船で沿岸へ送り出していました。

作り手の手もと
正面
左
背面
右
この品の全文を読む →
山口県萩市
萩焼

萩焼

山口県萩市 · 慶長年間、朝鮮の陶工から

買った時点では、まだ出来上がっていません。仕上げるのは、十年かけたあなたです。

茶をやる人なら誰でも知っている序列があります。一楽二萩三唐津。萩は四百年、その二番目にいます。理由は絵付にはありません——ほとんど描かれていないのですから。

作り手の手もと
正面
左
背面
右
この品の全文を読む →
京都の社寺
土鈴

土鈴

京都の社寺 · おおむね平成——一九九〇年代

見るためのものではありません。振るためのものです。

土鈴は、素焼きの土でつくった鈴です。なかに土の玉がひとつ入っていて、手で形をつくり、手で彩色します。澄んだ音ではなく、乾いた、小さな、音楽的でない音がします。

作り手の手もと
正面
左
背面
右
この品の全文を読む →

Your bag