焔Maison Homura
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五 · 布 — 福岡・久留米

久留米絣

着古した布を見ていた十二の娘が、考えついた。

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久留米絣 — 福岡・久留米
福岡・久留米 · 一八〇〇年頃から

一八〇〇年頃、久留米の井上伝という娘が古い藍の着物をほどき、擦り切れた所で糸が白く飛んでいるのに気づいた。そこから逆に考えた——織る前の糸に、あの白を意図して入れておけば、織り上がったときに文様が現れるはずだ。

それが絣である。白く残す所を糸の束ごと括り、藍に染め、解き、白と白が合うように織る。寸分たがわず合うことはない。その柔らかい滲み——かすれ——は失敗ではなく、人がこの布を買う理由そのものである。

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久留米絣の仕事場
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作りの順
  1. 括りKukuri

    文様として白く残す所を、糸の束ごときつく括る。

  2. 藍染めAizome

    藍に幾度も沈める。括った所には色が入らない。

  3. 解きToki

    括りを解けば、糸は藍に白の飛び石を持っている。

  4. 製織Seishoku

    白と白が出会うように織る。寸分は合わない。その滲みこそが絣である。

文様は表に載せたのではなく糸そのものに染まっているので、裏まで通っている。久留米の布は、文様より先に生地が擦り切れる。

十二歳だった。町はそれから二百年織っている。

四方から
久留米絣 — 正面
正面
覚え書き
糸
木綿。藍で先染めした糸
考案
井上伝、十二歳。一八〇〇年頃
かすれ
狙ってのこと。合わせきらぬよう織る
位置づけ
日本三大絣の一つ
産地について

この家から川を四十キロさかのぼった筑後平野。綿が穫れ、藍が育ち、藍甕が並び、その二つが九州じゅうの人が着る布になりました。

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