中に頭のない兜を、一年に一月だけ出す。

五月五日、男の子のいる家は鎧を飾ります。多くの家に一式を置く場所はないので、兜だけを黒漆の台に据え、月が終われば仕舞う。
戦利品ではありませんし、被られたこともありません。頭を守るもののかたちを借りた、願いです。眉庇から上へ反り返る金の二本は鍬形、その間の飾りが前立。鉢の下に垂れるのが錣で、漆塗りの小札を五段、綴じ合わせて首を覆います。


鉄の板を矧ぎ合わせ、鋲で留めて鉢を作る。
漆を塗った小札を、絹の緒で威して錣にする。
前立は金銅で切り出し、眉庇に挿す。
飾り台に組む。これは飾りの兜で、被るものではない。
値段が出るのは綴じです。縅は、すべての小札に同じ向き・同じ張りで絹紐を通していく仕事で、縅の乱れた兜は部屋の向こうからでも分かります。うまく縅せる人がしているのは、機械が代われる仕事ではありません。
この商いが集まるのは浅草橋、東京の東にある人形問屋の町です。二月前に三月の雛を出すのと同じ数本の通り。いちばん古い店、吉徳は創業を正徳元年(一七一一年)としています。
四月の末に出て、五月の半ばには仕舞われる。子どもがそれを見るのはせいぜい十八回で、そのあとは誰かのものになります。





東京の東、神田川のほとりの数本の通りが、ほとんどひとつの商いに明け渡されています。節句人形の問屋が軒を連ね、三月は女の子の雛、八週間おいて五月は男の子の鎧兜、そして一度シャッターが下り、また同じことが始まる。
品は日本で一点ずつ探し、出品する前に撮ります。お探しのものをお書きください。それに応えるものが入りましたら、お知らせします。
お知らせすることがある時だけお送りします。月に二度のこともあれば、何もない月もあります。
承りました。入り次第ご連絡します。